受験生版TigerFunding
皆さんご存知、岩井良明氏主催のモンスター番組『令和の虎』。
これから成功を目指す志願者が、すでに成功している経営者(虎)に対して金銭的支援を求めるためにプレゼンしていくという構成になっており、志願者の成功に対する思いや経営者ならではの時に冷たさすら感じる忌憚ない意見が魅力のコンテンツである。
その大学受験版が『受験生版TigerFunding』。
こちらは大学受験によって夢への道を切り拓こうとする志願者と、教育業界で活躍する虎たちとの構図になっている。趣旨としては"経済的に恵まれないが志を持った受験生を応援する"というもの。そんな番組にハマったので、いくつか見てみて考えたことを共有します。
①番組としては間違いなくおもしろい
まず、番組としてのおもしろさは認めざるを得ない。
構図としては言うまでもなく、個人的には岩井主催や細井先生のパンチの効いたキャラが痛快。『マネーの虎』からのノウハウがあるのか虎たちのキャスティングも素晴らしいな〜と。厳しくも時に優しさも垣間見える魅力的な虎達だと思う。(本家よりも閾値が低く、大人として子供を応援したい気持ちでお金を出す微笑ましい場面も多々ある)
また、志願者も最近は偏りが見られるが『こんな賢い子いるんだ』と驚くような高校生がいたり、拙いながらも自分の思いをなんとか伝えようとする志願者にも自分の過去を重ねて共感できる。
②受験生が本当に救われるのかは疑問
ただ、先ほど偏りが見られると書いたが、最近は志願者の質が”受験生としては”低いと思う。演者としてはおもしろいが...。(成績が全く伴っていないのに)東大や医学部という超難関を目指す、想定している受験期間が無謀、うつ病や発達障害のために苦労した、などだいたいこのパターン。
こうした受験生が多いために、経済的な困窮に苦しむ受験生の状況や受験の戦略的な話ではなく、そもそも志願者の認識や人生の甘さについての説教に終始してしまう回がかなり増えている印象。
しかも説教内容は揚げ足取りのようなものも散見され、果たして子供にとって良い影響をもたらすのかは疑問。動画の内容から志願者の未熟さが丸裸になってしまい、それがネットに永久的に残ることでいわゆる黒歴史なってしまうことになりかねない。
事実、番組でもそこを問題視する会議が先日配信されていた。
これでは受験生にとって良い意味での刺激はなく、見せ物的な笑いや反面教師的な教育価値はあるが、逆に言えばそこしかないのかなと。制作側も媒体がYouTubeである以上、どうしても”ちょっと変わった”人がバズってしまう美味しさもありエンタメ化の歯止めは効かないと思う。
③虎たちの受験話を聞かせて欲しい
完全にエンタメ化してしまうのであれば、出演する志願者の大半は番組に消費されるだけになり、志願者が未成年である以上これは問題だと思う。
ここは一旦エンタメ化の流れに歯止めをかけ、もう一度教育番組に舵を切ってほしいと思う。
そのための打ち手として、虎たちの受験エピソードを聞かせて欲しい。
イメージとしては”しくじり先生”のような構成。
現在教育業界で成功している虎たちも苦労して大学受験を乗り越えたんだな、俺でも頑張ればあんな人たちみたいになれるかもしれない、こうした思いこそ受験生に最も勇気を与えるパワーがあることだと思う。
また、最近説教に終始することでヘイトが溜まりがちな虎達の威厳を取り戻し、視聴者からの共感も得られるので一石二鳥では。
少なくとも闇雲に手探りで勉強をしていた過去の自分や、自分が受験コンサルをしている生徒さんたちにはそちらの方を見せたい。一人のファンとして良い発展を願います。
皆さんはどう思いますか。
個人的に好きな配信回⇩